【本要約】幸せになる勇気 〜自己啓発の源流「アドラー」の教えII

本要約:幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII レビュー/本要約
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『嫌われる勇気』を読んで、たしかに目からウロコが落ちた。でも、いざ日常に戻ると、上司にも子どもにもパートナーにもうまくいかない。「アドラーの教えなんて、しょせん理想論じゃないか」と感じたことはありませんか。

その「うまくいかなさ」に、まっこうから向き合うのが続編『幸せになる勇気』です。前作が「自由とは何か」を説いたのに対し、本書のテーマは「では、どうすれば人を愛し、幸せになれるのか」。きれいごとに聞こえた理論を、教育・仕事・交友・愛という生きた現場でどう使うのかを、ふたたび哲人と青年の激しい対話で描いていきます。この記事では、心に残る一節とともに、本書のエッセンスを読んで納得できる形で要約します。

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『幸せになる勇気』はどんな本?

本書は、哲学者・岸見一郎さんとライター・古賀史健さんによる共著で、2016年にダイヤモンド社から出版されました。世界的ベストセラー『嫌われる勇気』の続編であり、完結編にあたります。前作と同じく、アルフレッド・アドラーの心理学をベースにした一冊です。

舞台は前作から3年後。あの青年は、図書館の司書をやめて教育者(中学校の教師)になっていました。ところが、アドラーの教えを教室で実践しようとして見事に失敗し、「アドラーの思想は机上の空論だった」と絶縁を告げるために、ふたたび哲人のもとを訪れます。本書は、その怒れる青年と哲人による、ひと晩の対話として進みます。前作で理論を学んだ私たちが、次に必ずぶつかる「実践の壁」を、青年が代わりに体当たりで突破してくれる構成です。

愛とは「ふたりで成し遂げる課題」なのだ。

『幸せになる勇気』より

こんな人におすすめ

  • 『嫌われる勇気』を読んだが、日常でうまく実践できず壁を感じている人
  • 教育や子育てで、褒めることと叱ることのどちらも効かないと悩んでいる人
  • 職場や家庭の人間関係を、もっと対等で穏やかなものにしたい人
  • 「運命の人」を待ち続けているのに、なかなか巡り会えないと感じている人
  • 自立とは何か、本当の幸福とは何かを、もう一歩深く考えたい人

核心1:褒めてもいけない、叱ってもいけない

教師になった青年が真っ先にぶつかったのが、教育の問題です。子どもを褒めて伸ばそうとしてもうまくいかない。かといって叱ればもっと荒れる。そこで哲人は、アドラー教育の核心を突きつけます。「褒めること」も「叱ること」も、どちらもしてはいけない、と。

なぜなら、褒めるという行為には「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という上下関係(縦の関係)が隠れているからです。褒められることに慣れた人は、「褒めてくれる人がいなければ、適切な行動をとらない」ようになり、他者の評価という基準に依存してしまいます。叱ることも同じく、相手を自分より下に置く行為です。アドラーが目指すのは、相手を見下しも見上げもしない、対等な「横の関係」なのです。

では、どう接するのか。本書が示す答えが「勇気づけ」です。評価する言葉ではなく、対等な仲間として感謝や共感を伝え、相手が自分の力で課題に立ち向かう勇気を取り戻す手助けをする。教育とは、子どもを自分の思いどおりに操作することではなく、「自立」へと援助することだと本書は説きます。

核心2:すべては「尊敬」からはじまる

尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。

『幸せになる勇気』より

では、横の関係はどこから始めればよいのか。本書がすべての人間関係の入り口に置くのが「尊敬」です。ここでいう尊敬とは、相手をおだてたり、こわがったりすることではありません。その人を変えようとせず、ありのままのその人に関心を寄せ、唯一無二の存在として認めることです。

大切なのは、尊敬は「相手から始まる」のではなく「あなたから始める」ものだという点です。相手が尊敬に値するから尊敬するのではなく、まずこちらが無条件に尊敬を寄せる。すると関係が少しずつ変わっていきます。子どもや部下が言うことを聞かないと嘆く前に、自分はその相手に本当の関心を向けていただろうか、と問い直させてくれる視点です。

核心3:「悪いあの人、かわいそうなわたし」から抜け出す

人は悩みを打ち明けるとき、たいてい二つのことばかりを語ります。ひとつは「悪いあの人」、つまり自分をひどい目にあわせた相手への非難。もうひとつは「かわいそうなわたし」、つまり自分がいかに傷ついたかという訴えです。本書はここに鋭いメスを入れます。

しかし、本当に語り合うべきは、その二つではありません。「これから、どうするか」です。だれが悪かったかをいくら裁いても、過去は変わりませんし、自分の不幸を確認しても前には進めません。視点を「これからどうするか」へ向けたとき、はじめて人は被害者の立場から抜け出し、自分の人生の主導権を取り戻せます。これは、前作の目的論を実践の場に落とし込んだ、とても具体的な処方箋です。

核心4:仕事・交友・愛という「人生のタスク」

アドラーは、人が人生で向き合う対人関係を三つに分けます。「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」です。本書では、この順に関係の距離が近くなり、難しさも増していくと説かれます。

仕事の関係は、利害や成果で結びついた、いわば信用にもとづく関係です。条件つきで、やめようと思えばやめられます。交友の関係には利害がなく、「この人と一緒にいたいから一緒にいる」という関係です。そして最も難しいのが愛のタスク。本書はここで、信用と「信頼」をはっきり区別します。信用が条件つきなのに対し、信頼とは、相手を無条件に信じること。担保がなくても、裏切られるかもしれなくても、それでも信じる。その勇気が問われるのが、愛の関係なのです。

核心5:愛とは「落ちる」ものではなく、「決意する」もの

われわれは、運命の人と出会うのではない。みずからの手で、運命と呼べるだけの関係を築き上げていくのだ。

『幸せになる勇気』より

本書のクライマックスは、愛をめぐる議論です。多くの人は「運命の人」がどこかにいて、いつか出会えると信じています。しかし哲人は、それは出会いを避けるための言い訳になりうると指摘します。理想の相手を待ち続けるかぎり、目の前の誰とも本気で向き合わずにすむからです。

アドラーにとって、愛は自然に「落ちる」感情ではなく、二人で築き上げる課題であり、意志による「決意」です。「わたしの幸せ」でも「あなたの幸せ」でもなく、「わたしたちの幸せ」を生きる。その主語を「わたし」から「わたしたち」へ移すとき、人は自己中心性から解放され、本当の意味で自立する、と本書は結びます。愛するとは、もっとも勇気のいる、おとなの選択なのです。

正直なところ、難易度は前作より高い

本書には、前作以上に賛否があります。「褒めてはいけない」という主張は誤解されやすく、現実の教育現場や職場でそのまま実践するのは難しいという声もあります。また、愛や結婚をめぐる議論は理想が高く、人によっては「そこまで割り切れない」と感じるかもしれません。

そして率直に言えば、本書は前作『嫌われる勇気』を読んでいないと、議論の前提がつかみにくい場面があります。テーマも教育や愛へと踏み込み、抽象度が上がるため、「1冊目より難しかった」という感想も少なくありません。万能の正解ではなく、自分の人間関係を見つめ直すための問いかけとして読むと、最も生きてくる一冊だと思います。

読んで得られること

本書を読むと、人間関係の見方が「評価する/される」から「尊敬し合う対等な関係」へと切り替わります。子どもや部下と向き合うとき、褒めても叱ってもいない第三の道があると気づけます。そして何より、「いい出会いがない」と嘆く受け身の姿勢から、「自分から関係を築く」という能動的な生き方へと、背中を押してもらえます。前作で得た「自由」を、誰かと共に生きる「幸福」へとつなげる、その橋渡しをしてくれる本です。

まとめ

『幸せになる勇気』は、『嫌われる勇気』で学んだアドラー心理学を、教育・仕事・交友・愛という現実の場面でどう実践するかを描いた完結編です。褒めも叱りもしない勇気づけ、すべての出発点となる尊敬、無条件の信頼、そして「愛とは決意である」というメッセージは、人を愛し、幸せに生きるための具体的な道しるべになります。要約で心が動いた方は、ぜひ哲人と青年の白熱の対話そのものを味わってみてください。青年とともに壁にぶつかり、答えにたどり着く読書体験は、本書ならではの醍醐味です。

『幸せになる勇気』オーディオブック版(Amazon)はこちらaudiobook.jpで聴く

よくある質問

Q
『嫌われる勇気』を先に読むべきですか?
A

できれば先に読むことをおすすめします。本書は前作の理論を実践する続編・完結編なので、目的論や課題の分離といった土台を知っていると、議論をずっと深く理解できます。本書だけでも読めますが、2冊そろえて読むと真価が伝わります。

Q
「褒めてはいけない」とは、子どもを認めるなということですか?
A

いいえ、逆です。否定するのは「上から評価する褒め方」であって、相手を認めることそのものではありません。本書がすすめるのは、対等な仲間として感謝や共感を伝える「勇気づけ」です。相手が自分の力に気づけるよう、横の関係で関わることを大切にします。

Q
恋愛や結婚で悩む人にも役立ちますか?
A

はい。本書の後半は「愛」がメインテーマです。愛とは自然に落ちる感情ではなく、二人で築く課題であり決意だと説きます。「運命の人」を待つのではなく、目の前の相手と関係を育てる、という視点は、恋愛や夫婦関係に悩む人に新しいヒントをくれます。

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