やると決めたのに三日でやめてしまう。手帳もアプリも続かず、続かない自分にがっかりする。そんな経験はないでしょうか。「続けられないのは意志が弱いからだ」と自分を責めてしまいがちですが、本当の原因は別のところにあるのかもしれません。
今回紹介する『「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考』(井上新八 著)は、続けることを「根性」ではなく「技術」として捉え直す一冊です。意志の力に頼らず、誰でも続けられる仕組みのつくり方を、わかりやすく要約します。読み終えるころには、続けることへのハードルが少し下がっているはずです。
『続ける思考』はどんな本?
本書は、ブックデザイナーの井上新八さんによる一冊で、ディスカヴァー・トゥエンティワンから刊行されました。著者は数多くの書籍を手がけるかたわら、長年にわたって自分なりの習慣を積み重ねてきた、いわば「続けることの実践者」です。その経験から導き出された、無理なく継続するための考え方が一冊にまとめられています。
本書の根っこにあるのは、「続けることは才能ではなく、技術である」という考え方です。気合いやモチベーションに頼ろうとするから続かない。だからこそ、感情に左右されない「仕組み」をつくることが大切だと説きます。タイトルにある「やりたいこと」も「やるべきこと」も、この続ける思考が土台にあってこそ実現できる、というメッセージが全体を貫いています。
続けることは、才能ではなく技術である。
『続ける思考』が伝えること
こんな人におすすめの本です
- 勉強や運動、読書などを始めても、いつも三日坊主で終わってしまう人
- 「続けられないのは意志が弱いせいだ」と自分を責めてしまう人
- やりたいことがあるのに、なかなか手をつけられず先延ばししてしまう人
- 大きな目標を立てては挫折する、を繰り返している人
- 無理なく続けられる、自分なりの習慣をつくりたい人
核心1:続けるのは「意志」ではなく「仕組み」
本書がくり返し伝えるのは、続けられるかどうかは意志の強さで決まるのではない、ということです。やる気は気分や体調で簡単に揺らぎます。その不安定なものに継続を委ねている限り、調子の悪い日にあっさり途切れてしまいます。
そこで本書がすすめるのが、続けることを「仕組み」にしてしまう発想です。やるかどうかをその都度考えるのではなく、考えなくても自然に体が動く状態をつくる。意志で頑張るのをやめ、仕組みに頑張ってもらう。この発想の転換こそが、続ける思考の出発点になります。
核心2:とにかく「小さく」始める
続かない人がやりがちなのが、最初から大きな目標を掲げてしまうことです。「毎日1時間勉強する」「毎朝5キロ走る」といった意気込みは立派ですが、ハードルが高いほど挫折しやすくなります。
本書がすすめるのは、その逆です。「これくらいなら絶対にできる」と思えるほど小さく始めること。たとえば読書なら1日1ページ、運動ならスクワット1回でもいい。重要なのは量ではなく、毎日途切れさせないことです。小さな行動でも続けば自信になり、その積み重ねがやがて大きな成果につながっていきます。まずは「ゼロにしない」ことを最優先する、という考え方です。
核心3:時間と場所を決めて、迷いをなくす
続けるうえで地味に効くのが、「いつ」「どこで」やるかを固定することです。毎回タイミングを考えていると、その判断自体が負担になり、「今日はあとで」と先延ばしする隙が生まれます。
そこで、行動する時間と場所をあらかじめ決めてしまいます。たとえば「朝起きてコーヒーを淹れたら机に向かう」というように、すでにある習慣に新しい行動をくっつけるのも効果的です。決まったきっかけが引き金になり、考える前に体が動くようになります。迷う余地をなくすことが、続けるための強力な味方になるのです。
核心4:記録して、続けていることを「見える化」する
本書では、日々の行動を記録することの効果も語られます。カレンダーに印をつける、ノートに一行残すなど、方法はなんでも構いません。大切なのは、自分が続けてきた事実を目に見える形にすることです。
記録が積み重なっていくと、「ここまで続けてきたのだから、途切れさせたくない」という気持ちが自然と生まれます。続けてきた軌跡そのものが、次の一歩を後押ししてくれるのです。さらに記録は、自分の行動を振り返り、やり方を見直すための手がかりにもなります。続けることと、記録することは、相性のよい組み合わせです。
核心5:「続けること」自体を楽しむ
本書の魅力的なところは、続けることを我慢や苦行として描いていない点です。「面倒だけど頑張る」ではなく、続けている状態そのものをおもしろがる。そんな視点を大切にしています。
たとえば、淡々と続ける行為を作業ではなく遊びのように捉え直したり、続いている記録が伸びていくこと自体を楽しんだりする。ネガティブな感情に支配されると続けるのは苦しくなりますが、小さな達成感や心地よさに目を向けると、続けることが自分にとっての楽しみに変わっていきます。楽しめる工夫をどう仕込むかが、長く続けるための鍵になります。
正直なところ、向き不向きもある
本書は多くの人に役立つ一方で、合う人と合わない人がいるのも事実です。短期間で劇的な成果を出すノウハウや、難しい理論的な裏づけを求める人にとっては、内容がシンプルすぎて物足りなく感じられるかもしれません。語られているのは、あくまで著者自身の実践から導かれた、地に足のついた考え方です。
とはいえ、その素朴さこそが本書の強みでもあります。特別な才能や道具は必要なく、誰でも今日から試せる。続けることに何度もつまずいてきた人ほど、「これならできそうだ」と感じられるはずです。万能の答えとしてではなく、続けるための自分なりの型をつくるヒントとして読むと、本書の価値が最も生きると思います。
読み終えると、何が変わる?
読後にまず変わるのは、続けることへの心理的なハードルです。「意志が弱いから続かない」という思い込みから解放され、「仕組みが足りなかっただけだ」と捉え直せるようになります。すると、自分を責める時間が減り、やり方を工夫することに意識が向きます。小さく始め、時間と場所を決め、記録して楽しむ。このシンプルな型を一つでも生活に取り入れると、続くことが少しずつ増えていきます。劇的な変化ではなくても、その積み重ねが確かな自信につながっていくはずです。
まとめ
『続ける思考』は、「続けられない」を「続けられる」に変えるための、実践的な考え方をまとめた一冊です。続けることは才能ではなく技術であり、意志ではなく仕組みで支える。小さく始め、時間と場所を決め、記録し、そして楽しむ。どれも特別なことではありませんが、組み合わせることで継続の土台になります。何度も三日坊主を繰り返してきた方こそ、本書の考え方を一つ試してみてください。続けられた、という小さな成功体験が、次の一歩を後押ししてくれるはずです。
よくある質問
- Q『続ける思考』はどんな人に向いていますか?
- A
勉強や運動、読書などを始めても続かず、三日坊主を繰り返してきた人に向いています。難しい理論ではなく、今日から試せる具体的な工夫が中心なので、習慣化が苦手な人ほど取り入れやすい一冊です。
- Q意志が弱くても続けられるようになりますか?
- A
本書の考え方は、まさに意志の強さに頼らないことが前提です。やる気ではなく仕組みで続けるという発想なので、自分は意志が弱いと感じている人にこそ役立つ内容になっています。
- Q何から始めればいいですか?
- A
まずは「これなら絶対にできる」と思えるほど小さな行動を一つ決め、毎日同じ時間と場所で行うことから始めるのがおすすめです。続けた記録を残しておくと、モチベーションの維持にもつながります。

コメント