「アドラー心理学に興味はあるけれど、本がたくさんありすぎて、どれから読めばいいのか分からない」。そう感じて、書店やネットの本棚の前で手が止まってしまった方は多いのではないでしょうか。
入門書、マンガ版、創始者アドラー本人の著作、ビジネス向け、子育て向け。一口にアドラー本といっても種類はさまざまで、自分に合わない一冊から入ると「難しい」「ピンとこない」とつまずいてしまいがちです。
そこでこのガイドでは、アドラー心理学のおすすめ本10冊を「初心者向け」「実践向け」「深く学ぶ向け」という3つの目的別に整理しました。今のあなたに必要な一冊が、迷わず見つかるはずです。
まず結論:目的別のおすすめ早見表
細かい解説の前に、タイプ別に最初の一冊の目安をまとめます。
- とにかく入門したい初心者向け:『嫌われる勇気』『マンガでよくわかる アドラー心理学』『アドラー心理学入門』
- 悩みの解決に役立てたい実践向け:『幸せになる勇気』『仕事で使える!アドラー心理学』『アドラー式働き方改革』『子どもをのばすアドラーの教え』
- 思想を深く学ぶ向け:『人生の意味の心理学』『人生がうまくいく人の自己肯定感』
アドラー心理学とは?:「過去」ではなく「未来」を見つめる心理学
アドラー心理学は、オーストリア出身の精神科医アルフレッド・アドラーによって創始された心理学です。アドラーは、人間の行動は「未来の目的」を達成するために選択されると考え、過去のトラウマよりも、未来への目標や理想を重視しました。
簡単に言えば、過去の経験が現在の自分を決定するのではなく、未来に達成したい目的のために、人は行動を選択していると考えるのがアドラー心理学です。
また、アドラー心理学では「共同体感覚」という概念が非常に重要視されます。これは、自分が社会や共同体の一員であるという感覚、他者への貢献感、共感性を意味します。アドラーは、人間は本質的に社会的な存在であり、他者と協力し、貢献することで幸福を感じることができると考えました。
なお、アドラー心理学は時に「自己責任論」と誤解されることがあります。しかしアドラーが強調したのは、「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極め、「変えられるもの」に注力するということです。過去の経験や他人の感情は自分では変えられませんが、自分の考え方や行動は自分の意志で変えられます。アドラー心理学は、私たちが「今、ここ」から人生をより良くしていくための、実践的な指針を与えてくれます。
初心者向け:アドラー心理学の「基本」を学ぶ3冊
まずは基本的な考え方を理解したい、という方におすすめの3冊です。「目的論」「課題の分離」「共同体感覚」といった土台を、無理なくつかめます。
嫌われる勇気:自己啓発の源流「アドラー」の教え
著者:岸見一郎、古賀史健
アドラー心理学の入門書として、圧倒的な人気を誇る一冊です。哲学者と青年の対話形式で、「目的論」「課題の分離」「共同体感覚」といった主要概念が分かりやすく解説されています。特に「課題の分離」は、人間関係の悩みを解決するうえで非常に重要な考え方です。「他人の目を気にしすぎてしまう」「人間関係に疲れている」と感じている方に、自分らしく生きるための一歩を与えてくれるでしょう。アドラー心理学に初めて触れるなら、まずこの一冊から始めるのがおすすめです。
マンガでよくわかる アドラー心理学
監修:岩井俊憲 / 作画:深山ちなみ
活字が苦手な方、マンガで楽しく学びたい方におすすめです。マンガと解説の組み合わせで、アドラー心理学の重要なポイントを視覚的に理解できます。難しい概念もストーリーを通して理解でき、各章末には日常生活で実践するためのワークシートも用意されています。人間関係、仕事、恋愛、子育てなどテーマ別のシリーズがあるので、自分の悩みに合わせて選べるのも魅力です。「興味はあるけれど難しそう」と感じている方の、最初の一冊にぴったりです。
アドラー心理学入門
著者:岸見一郎
アドラー心理学の全体像を体系的に学びたい方におすすめの、入門書の決定版です。「劣等コンプレックス」「ライフスタイル」「共同体感覚」といった重要概念を網羅し、基本的な考え方をしっかり理解できます。第一人者である岸見一郎氏が、長年の研究にもとづいて理論を丁寧に解説しているため、『嫌われる勇気』を読んで「もっと体系的に知りたい」と思った方の次の一冊として最適です。
実践向け:人生や仕事の「悩み」を解決する4冊
アドラー心理学の教えを日常生活で実践し、具体的な悩みの解決に役立てたい方におすすめの4冊です。人間関係、仕事、子育てといった現実のテーマに直結します。
幸せになる勇気
著者:岸見一郎、古賀史健
『嫌われる勇気』の続編であり、より良い人間関係を築きたい方におすすめの一冊です。前作の「課題の分離」を前提に、「愛とは何か」「自立とは何か」「共同体感覚を育むにはどうすればよいか」といった、人生の重要なテーマへ踏み込んで考察しています。前作が人間関係の悩みを解決する守りのアプローチだとすれば、本書はより良い関係を築くための攻めのアプローチです。「パートナーと真の意味で愛し合いたい」「困難に立ち向かう強さを持ちたい」と願う方の指針になるでしょう。
仕事で使える!アドラー心理学
著者:岩井俊憲
リーダーシップ、コミュニケーション、チームビルディングなど、ビジネスシーンでアドラー心理学を活用するための実践的なノウハウを解説した書籍です。相手の能力や可能性を信じて励ます「勇気づけ」をキーワードに、職場で起こりうるさまざまな課題に対し、具体的なケーススタディを通して解決策を示しています。上司と部下、同僚、クライアントなど、現実の関係を想定した事例が豊富で、「明日からの仕事に活かしたい」というビジネスパーソンに役立ちます。
アドラー式働き方改革 仕事も人生も、もっとハッピーになるヒント
著者:小倉広
アドラー心理学をベースにした「働き方改革」を実践するための具体的な方法が、多数のワークとともに紹介されています。自分の強みや価値観を明確にするワーク、目標設定のワークなどを通して、考え方を自分の仕事や生活に落とし込めるのが特徴です。長時間労働の是正や生産性の向上、ワークライフバランスの実現といった現代的な課題に、アドラー心理学の視点から具体的に向き合います。「もっとやりがいを持って働きたい」と願う方に、現状を変えるヒントを与えてくれます。
子どもをのばすアドラーの教え
著者:岸見一郎
子育てに悩む親御さんにおすすめの一冊です。アドラー心理学にもとづいた「勇気づけ」の子育てによって、子どもの自主性を尊重し、健やかな成長を促す方法が解説されています。失敗を頭ごなしに叱るのではなく努力を認めて励ますこと、子どもの課題と親の課題を区別する「課題の分離」など、実際の育児で使える考え方が豊富な事例とともに紹介されています。「子どもとの接し方に悩んでいる」「子どもの自立心を育てたい」という親御さんの指針になるでしょう。
深く学ぶ向け:思想を掘り下げる2冊
アドラー心理学をより深く理解し、自分らしい生き方を見つけたい方におすすめの、踏み込んだ内容の2冊です。基本をひと通り押さえた後の一冊として向いています。
人生の意味の心理学
著者:アルフレッド・アドラー / 訳:岸見一郎
アドラー心理学の創始者、アルフレッド・アドラー自身の著作であり、彼の思想の真髄に触れられる貴重な一冊です。「劣等感」「共同体感覚」「人生の意味」など、根幹となるテーマについて、アドラー自身の言葉で深く考察されています。劣等感を成長の原動力ととらえる独自の視点や、「人生の意味は自分で創造するもの」という考え方が、自分自身の人生を見つめ直す大きなヒントになります。「アドラー心理学の真髄を知りたい」という方にとって、必読の一冊です。
人生がうまくいく人の自己肯定感
著者:中島輝
日本人に合った自己肯定感の高め方を、具体的なワークを通して実践的に学べる一冊です。自己肯定感の土台となる6つの感(自尊感情、自己受容感、自己効力感、自己信頼感、自己決定感、自己有用感)をバランスよく高める方法が解説されています。漠然とした自己肯定感を6つの感覚に分解することで、自分のどの部分が弱く、どう強化すればよいかが明確になります。「自分に自信が持てない」「他人の評価が気になってしまう」という方が、自分らしく生きる一歩を踏み出すきっかけになるでしょう。
よくある質問
Q. アドラー心理学の本は、まずどれから読めばいいですか?
A. 特にこだわりがなければ『嫌われる勇気』から読むのがおすすめです。対話形式で読みやすく、アドラー心理学の主要概念をひと通りつかめます。活字が苦手なら『マンガでよくわかる アドラー心理学』、体系的に整理したいなら『アドラー心理学入門』が向いています。
Q. 『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』は、どちらを先に読むべきですか?
A. 『嫌われる勇気』を先に読むのがおすすめです。『幸せになる勇気』は続編にあたり、前作の「課題の分離」を理解したうえで読むと、内容がより深く実践しやすくなります。
Q. 仕事や子育てに役立てたい場合は、どの本がいいですか?
A. 仕事なら『仕事で使える!アドラー心理学』や『アドラー式働き方改革』、子育てなら『子どもをのばすアドラーの教え』が向いています。いずれも「勇気づけ」を軸に、具体的な場面で使える考え方が解説されています。
まとめ:アドラー心理学で、「今、ここ」から人生をより豊かに
アドラー心理学は、過去のトラウマや経験に縛られず、「今、ここ」から未来に向かって、自分の意志で人生を切り開いていくための実践的な心理学です。
今回ご紹介した10冊は、それぞれ目的やレベルが異なります。まずは入門の一冊から手に取り、興味が深まったら実践向け・深く学ぶ向けへと読み進めてみてください。あなた自身の人生に役立つヒントが、きっと見つかるはずです。

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